Edwina Hörl
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UNTITLED

次の土曜はぜったい雨にならないで。蚤の市があるから。蚤の市には太陽の天蓋が 必要なの。動かせる広場、それが蚤の市。まるで尽きないデザインをもつ空飛ぶ じゅうたんみたいに、蚤の市。まるで尽きないデザインをもつ空飛ぶじゅうたんみ たいに、あらゆる場所へ降り立ったかと思えば、ふたたびくるくるって巻きとられ てしまう。もっとも面白いのはそのフリンジかも知れない。ひもがもつれからまっ てできているけど、運よく肝心の一本を引き当てると、途端にほどけて、ネクタイ やショールや他の織物がつぎつぎと姿を現す。 あそこを見て。手ぬいのワンピースが妖しくも美しい。私には胸のギャザーがゆる そうでくやしいけど。でもその隣に広げられた黄色のパンツは、イカシテル。 蚤の市にショーウインドウはない。その魅惑はかたちがなく、生き物のようだ。 だって手さぐりする指でつねに掘りかえされているから。ならべ方もいろいろ、地 べただったり折りたたみテーブルの上だったり、いいかげんで、偶然や、場所がな いとしても、展示方法に文句など言わせない。毛糸玉のように丸められた布地、無 造作に重ねられたジーンズ、婦人服の山、もっと高い織物の山、片方しかない靴の 列、そしてすこしだけ良質で、でも本当の愛好家には見向きもされないつるされた 品。掘り出し物を探そうと思えば、不快な快感に引き寄せられつつ、ガラクタを押 しのけて、このもつれた布切れの世界を通って行くよりほかない。つまり多くの場 合メランコリックな調子の混乱した小山のなかに手を突っ込み、ドラロン、ペルロ ン、ナイロン、アクリル、さらに純羊毛100パーセントのフェルト地、金襴、そし て絹などからなる、古ぼけたにおいのするもつれをほどかなければならない。たと えば流線型のアノラックの獣脂のような光沢を持つカラーを手に取ってみた。高貴 な品だけど安価。X年前には量販品だったものが、偶然にみちびかれ長い時を生き のびてきて、一点ものの風格を漂わせている。ドラマティックにいうなら、長い旅 を経た品達は、私という救世主に出会いそして生き続ける。

karin ruprechter / translation yasuhiro kurogo

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art direction / so+ba
photography (VIENNA) / jens preusse
photography (TOKYO) / seiji shibuya
styling / mikiti aizawa
hair-makeup / miyuki oya
models / mari takahashi, sanae ise, jun vera